スティーブ・コーゼンの軌跡

英米でリーディングに輝き、5か国のダービーを制覇した天才騎手スティーブ・コーゼン (Steve Cauthen) に関する情報を記載します。

2着だがコーゼンの馬群捌きの凄みが見れる貴重なレース ー1992 General Accident 1000 Guineas Stakesー

1992年、コ―ゼン現役最後の年のイギリス1000ギニーです。

結果は2着だったのですが、凄い馬群捌きをしています。

騎乗馬は Marling(白いシャドーロールの馬)。主戦騎手ウォルター・スウィンバーンから、このレースのみの乗り替わり。テン乗りです。

上記画像の見ればわかりますが、道中は馬群が密集。

その状況で、残り500mから進路を見つけ出して追い通し、ゴールまで一度もブレーキをかけずに、

 

馬場の中央 → ラチ近く → 馬場の中央

 

と、左右に進路変更しています。

特に最後、前2頭を交わしにかかるときの捌きは、福永洋一ハードバージのそれを思い起こさせます。進路変更前も、進路変更の瞬間も、進路変更の後も、身体の軸も追うリズムも全くブレません。ブレーキも一切なし。隣の馬への接触もゼロ。追いながら真横に一頭分スパッと瞬間移動します。

◆レース映像

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もちろん勝てれば一番良かったのでしょうし、「勝てるレースを落とした」という声が出たとしても、「結果が全て」の競馬の世界ですから、致し方ありません。着差が着差だけに、コーゼン自身も失敗騎乗と思っている可能性もありますが、それにしても凄い進路変更、馬群捌きです。これだけ馬群を捌きながら、他馬へ不利を与えていないことはもちろんのこと、ゴールまで接触すら一度としてしていないのです。ブレーキも一度もかけず、最後まで姿勢を乱さず馬群を捌いています。

これだけ馬群が密集している状態で他馬との接触を一切せずに進路を見出し、即座に進路を変更してゴールまでブレーキを踏まずに追い続けられる騎手は、ほとんどいないでしょう。この記事の後半でリプレイ映像の画像を貼りますが、最後の最後、真横に一頭分のスペースを見つけて進路変更した際も、隣の馬には全く接触していません。レース映像だと隣の馬を弾き飛ばして(接触して)進路確保しているように見えるかもしれませんが、リプレイを見ると、「ピタッ」とコーゼンの馬の馬体と青い勝負服の馬の馬体が触れる直前で進路変更は終わり、コーゼンは移動前も移動後も鞭を入れながらゴールまで追い続けています。

ラチ沿いに一頭分のスペースを見つけて移動

左側(青い勝負服の馬)に一頭分のスペースを見つける

瞬時にそのスペースへ突っ込む

横に一頭分だけ移動、隣の青い勝負服の馬と接触ゼロ、一切の不利なし。

騎乗姿勢が全く乱れないまま、ゴールまで追い続ける

アタマ差届かず、2着でゴール。

体重管理の問題があったとはいえ、これだけのジョッキーがこの年を最後に鞭を置いたのは残念でなりません。

以下は別アングルからのリプレイ付きの動画です。

◆リプレイ付き映像

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以下、最後の進路変更時の画像コマ送りです。

以下は別アングルから撮られたリプレイ映像を参照します。

勝ち馬 Hatoof に騎乗のウォルター・スウィンバーンの絶妙のポジショニング(外から一気に内に切れ込んだ後、一頭分あるかないかのギリギリのスペースを開けて後ろの馬を封じている)により前の2頭の間は割らず、ギリギリのタイミングで外へ。ブレーキを踏まず鞭を入れて追いながら、左に馬一頭分の距離だけスパッと進路変更しています。外の青い勝負服の馬との接触も一切ありません。

このような状況の場合、特にヨーロッパだと、隣の馬を弾き飛ばす(外に押し出す)ようにして進路をこじ開けるケースが多いです。しかしコ―ゼンは、このようなギリギリの状況でも、決して他馬に接触したり不利を与えたりしません。本当に接触寸前のところで「ピタッ」と止まっている。それだけ高度な馬群捌きの技術を持っていたのです。
Marling はこのレースも含め、牡馬との混合戦も含めてマイルGⅠを3勝、合計でGⅠを4勝した名牝ということもあり、このレースは「勝てたレースを落とした」という評価をされることが多いようです。事実、道中は馬群に閉じ込められ、思うようにMarling の進路が開かなかったという事実はありますが、これは不可抗力であり、コーゼン自身が無駄な進路取りやブレーキをかけるといったロスは一切していないことは、ここに明記しておきたいと思います。