スティーブ・コーゼンの軌跡

英米でリーディングに輝き、5か国のダービーを制覇した天才騎手スティーブ・コーゼン (Steve Cauthen) に関する情報を記載します。

スティーブ・コ―ゼンと福永洋一

①道中の姿勢

1976 天皇賞・春(先頭)

1990 Dalham Chester Vase(2番手)

1978 宝塚記念

1978 宝塚記念

1987 Epsom Derby(先頭)①

1987 Epsom Derby(先頭)②

1976 京都記念・秋①

1976 京都記念・秋②

1985 Lingfield Derby Trial Stakes①

1985 Lingfield Derby Trial Stakes②

1976 京都新聞杯(先頭)①

1976 京都新聞杯(先頭)②

1976 京都新聞杯(先頭)③

1987 Jersey Stakes(先頭)①

1987 Jersey Stakes(先頭)②

1987 Jersey Stakes(先頭)③


②馬群捌き

福永洋一 1977 皐月賞  ハードバージ

www.youtube.com


・スティーブ・コ―ゼン
1990 William Hill Cambridgeshire Handicap Risen Moon

www.youtube.com

※このレースの詳細は以下のエントリーに書きました

stevecauthen.hatenablog.jp

 

福永洋一は28歳、コーゼンは30歳のときの騎乗です。

両レースとも、レース直前に騎乗が決まった「テン乗り」である点も共通しています。

 

※追記

コーゼンの1983年Dubai Champion Stakesと、ライアン・ムーアがヴェラアズールで勝った2022年ジャパンカップも挙げておきます。

1983年Dubai Champion Stakesは、23歳のコ―ゼンによる伝説のレースです。

最内ラチ沿いの最後方にいるのがコ―ゼン騎乗のCormorant Wood.

ムーアも素晴らしいですが、コーゼンはムーアと比べても馬群の密集地帯や進路変更時でも、上半身も軸も全くブレません。同レースにはレスター・ピゴットやフランスの至宝イヴ・サンマルタンランフランコ・デットーリの父親であるジャンフランコデットーリなども騎乗していましたが、23歳のコ―ゼンが凄まじい騎乗を見せました。

 

www.youtube.com

www.youtube.com

 

1983年Dubai Champion Stakesについては以下に書きました。

stevecauthen.hatenablog.jp

2着でしたが、以下のレースでも一頭分だけ外に追いながら進路変更しているコ―ゼンの馬群捌きの凄さを見ることができます。

stevecauthen.hatenablog.jp

コーゼンの名騎乗ー1987 Epsom Derby, 1987 King George VI and Queen Elizabeth Diamond Stakesー

コ―ゼンのフォームの凄さが分かる、Reference Pointでの有名なレースです。両レースとも逃げ切り。

軸(脚の位置)が全くブレないまま、馬のリズムに寸分の狂い無く合わせて上下に動くコーゼン。

馬が馬体を開く(伸ばす)ときはコ―ゼンは上に伸び、立ち上がってガッツポーズをする時の位置くらいまで上体を起こします。

逆に、馬が馬体を縮めるときは下に下がり、最初から身体を縮めて追っている2番手の騎手より小さく体を縮めています。

これでリズムも軸も一切ブレないのは驚異としか言いようがありません。

以下は英ダービー

 

以下はキングジョージ

一人だけ、透明な椅子に座りながら追っているようなフォームです。

膝からつま先が馬体に対して垂直のまま、一切ブレずに追えるのがコーゼンです。

まるでコーゼンの足が馬体に突き刺さっているかのよう。

アスコットの直線600mを追いっぱなしで、最後までこのフォームが崩れません。

 

 

 

 www.youtube.com

 

www.youtube.com




















twitter.com

 

 

 

コーゼンの名騎乗 ー1992 General Accident 1000 Guineas Stakesー

1992年、コ―ゼンの現役最後の年の英1000ギニーです。

結果は2着だったのですが、凄い騎乗をしています。

 Marling(白いシャドーロールの馬)に騎乗しています。

 

残り500m追い通しで、一度もブレーキをかけずに、

 

馬場の中央 → ラチ近く → 馬場の中央

 

と、左右に進路変更しています。

特に最後、前2頭を交わしにかかるときの捌きは、福永洋一ハードバージのそれを思い起こさせます。

進路変更前も、進路変更の瞬間も、進路変更の後も、軸も追うタイミングも全くブレません。勝てれば一番良かったのでしょうが、それにしても素晴らしい騎乗です。

 

体重管理の問題があったとはいえ、これだけのジョッキーがこの年を最後に鞭を置いたのは残念でなりません。

 

www.youtube.com

リプレイ付き

www.youtube.com

 

以下、砂漠個所のコマ送り(白いシャドーロールの馬がMarling)

以下はリプレイの別アングルから。

勝ち馬が内へ外へとヨレているため前の2頭の間を割らず、ギリギリのタイミングで外へ。ブレーキを踏まず鞭を入れて追いながら、左に馬一頭分の距離だけスパッと進路変更しています。外の青い勝負服の馬との接触も一切ありません。





1977年 デビュー2年目(17歳)のコーゼン(おまけ映像あり)

デビュー2年目、17歳のコーゼンの特集映像です。

この年、コ―ゼンは2000レース以上に騎乗して487勝という驚異的な記録を残して全米リーディングに輝きました。

しかも、怪我で1ヶ月ほど休んでの記録で、怪我がなければ500勝以上はできたとのこと(2022年に行われたレーシングポストのインタビュー映像より)。

 

www.youtube.com

 

おまけ:

ちなみに1977年は、日本で福永洋一騎手が皐月賞ハードバージ)で伝説の騎乗を行った年でもあります。

以下は中日映画社が公開している、定点カメラで記録されたハードバージ皐月賞です。

白黒で分かりずらいところもありますが、定点カメラからの映像だと、より福永洋一騎手の騎乗の凄さが分かります。

カラー映像で何度も見ていたにもかかわらず、最後の直線で「消える」瞬間をこの映像で初めて見たときは鳥肌が立ちましたね。

戦慄とか、畏怖とか、それに近い感情。

 

www.youtube.com

コーゼンの名騎乗 ー1990 St James's Palace Stakesー(おまけ映像付き)

コーゼン得意の逃げで楽勝。

ちなみにこのレースの2着馬の騎手は、当時19歳のランフランコ・デットーリ騎手です。

 

www.youtube.com

 

おまけ:

以下のレースは、デットーリとコーゼンの鼻差の叩き合いが行われたレースです。

結果は、1着デットーリ、2着コーゼン。

デットーリとコーゼン、それぞれの特徴的なフォームでの天才同士の叩き合いがみられる貴重な映像だと思います。

 

www.youtube.com

 

大井競馬場で騎乗したコーゼン(1979年)

大井競馬場で騎乗したときの映像が残っています。

1979年です。

コーゼンは「背中にコップを乗せても水がこぼれないくらい背中が真っ直ぐで、軸がぶれない」と、当時一緒に騎乗した騎手が語ったそうですが、当時の映像がこうして残されているのは大変貴重です。

 

www.youtube.com