以前のエントリーでも触れましたが、スティーブ・コーゼンと福永洋一の馬上での姿勢はそっくりです。
上記エントリーでは直線での追い方を中心に触れていますが、道中の姿勢(支点の位置や軸の作り方、前傾具合)もそっくりです。以下に画像を載せていきますが、本当に瓜二つと言えるくらい似ています。そして、軸が一切ブレない。道中も直線で追い出してからも、二人とも乗っている馬の馬体に足が突き刺さっているかのように軸が微動だにしません。
馬群捌きの上手さも似ている。二人ともブレーキをかけずに馬を全力疾走させたまま、真横に一頭分の進路変更を行うことができます。この点では、福永洋一のハードバージの皐月賞は「神騎乗」として有名でしょうが、スティーブ・コーゼンの 1990年 William Hill Cambridgeshire Handicap での馬群捌きは、私が知る限り、史上最高の馬群捌きだと思います(このレースはイギリスでもコーゼンの名騎乗・神騎乗として取り上げられることは皆無に近いですが)。コーゼンの馬群捌きで「神騎乗」として有名なのは、1983年に23歳のコーゼンが勝利した Dubai Champion Stakes です。もちろん、こちらはこちらで文句なしの「神騎乗」ではありますが・・・。もし興味を持たれた方がいらしたら、福永洋一とコーゼンの上記3レースを見比べてみていただきたいです。
私はJRA史上最高の天才騎手と、アメリカが生んだ天才騎手の比較は、もっとなされてもよいと考えています。「成績」や「逸話」だけで○○が天才、○○が史上最高などと言っていても何の説得力も持ちませんので・・・。インターネットや書籍で調べてみたのですが、両者の技術的な共通点について触れている文章や動画などは皆無だったため、あらためてその事実をここで指摘すると同時に、以下に画像も載せていきます。
①道中の姿勢

































②馬群捌き
・スティーブ・コ―ゼン
1990 William Hill Cambridgeshire Handicap Risen Moon

(特に馬群を抜け出した後、最後の一頭を接触スレスレまで接近して瞬間的に交わすところは神技です。一瞬なので何をしたのかスローで見ないと分からない)
※このレースの詳細は以下のエントリーに書きました
福永洋一は28歳、コーゼンは30歳のときの騎乗です。
両レースとも、レース直前に騎乗が決まった「テン乗り」である点も共通しています。
※追記
コーゼンの1983年Dubai Champion Stakesと、ライアン・ムーアがヴェラアズールで勝った2022年ジャパンカップも挙げておきます。
1983年Dubai Champion Stakesは、23歳のコ―ゼンによる伝説のレースです。
最後方にいるのがコ―ゼン騎乗のCormorant Wood です。ここからまず最内に入り、馬群を縫って、20頭をゴボウ抜きしました。

ムーアも素晴らしいですが、コーゼンはムーアと比べても馬群の密集地帯や進路変更時でも、上半身も軸も全くブレません。この点も福永洋一も同じです。伊藤雄二・元調教師が「ちょっとやそっとのことでは軸も態勢も崩れない。これは福永洋一だけが持っていた類まれな能力だった」と語ったそうですが、コーゼンも馬体に自分の足が突き刺さっているのではと思うくらい、軸も態勢も崩れません。
なお、このレースにはレスター・ピゴットやフランスの至宝イヴ・サンマルタン、ランフランコ・デットーリの父親であるジャンフランコ・デットーリなども騎乗していましたが、23歳のコ―ゼンが凄まじい騎乗を見せました。
※以下は別アングルからの同レースの映像が収められた動画です(56:49~)。
瞬時にラチ沿いに進路を変更し、その後、文字通り馬群を縫ってきます。
「馬群を縫う」「馬群をこじ開ける」とはこういうことか!と思い知らせてくれる騎乗です。
1983年Dubai Champion Stakesについては以下に書きました。
2着でしたが、以下のレースでも一頭分だけ外に追いながら進路変更しているコ―ゼンの馬群捌きの凄さを見ることができます。